妻と子らの仲が良いため、私の死後は争いなく相続手続きが進みそうです。ただし、子らは遠方で忙しく、妻が死別のグリーフでうつになると手続きが滞ります。できることを教えてください。(80代、男性)

まず、財産目録を作成しましょう。家族仲がいいので遺産分割協議でもめることはないでしょうが、相続税の申告漏れになると加算税がかかりますのでご家族に負担をかけてしまいます。

ご自身で相続財産を明示することにより、相続人は金融機関などをしらみ潰しにあたって口座の有無を問い合わせたり、残高証明書の発行を依頼したり、動産の評価額を業者に査定依頼したりと、煩雑な作業を限られた時間内で進める負担が軽減されます。生前に自ら時間をかけてリストアップすることはさほど負担になりません。登記事項証明書を相続人が法務局で請求する際は、土地の地番や建物の家屋番号が必要であるため、登記済証などで確認して財産目録に記載します。

次に銀行口座の入出金履歴を記帳するか、無通帳型の場合はプリントアウトしてファイリングすれば気配りが行き届きます。相続税の申告などをする上で必要な情報源になるため、利用記録を確認することがあります。エンディングノートにログイン情報を書き留めておきましょう。

最後に除籍謄本や改製原戸籍を含む出生から現在に至る戸籍謄本を収集しておくと良いです。あなた亡き後、戸除籍謄本などの束と法定相続情報一覧図(A4の白い紙に記載)を相続人が法務局の登記所に提出すると、登記官が確認の上、認証文付きの一覧図写しを無料で交付してくれます。相続登記や預金の払い戻し、相続税の申告など相続手続きに一覧図写しを利用すれば、戸籍書類一式の提出を省略でき、時間を節約できます。

<生活の窓口相談員(ファイナンシャルプランナー)長沼満美愛>