相続登記が義務化になると聞き、数十年前に相続したものの放置していた山林について、相続登記をした上で、私の代で売却や寄付などで手放したいのですが、遺産分割協議書が見つかりません。どうしたらいいですか。(80代、男性)

来春義務化、再度作成が必要

相続登記の義務化は2024年4月に施行開始となり、相続により不動産を取得したことを知った日から、または遺産分割協議が成立した日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。正当な理由がないにもかかわらず申請をしなかった場合は10万円以下の過料を科されることがあります。

同制度の開始前に相続した不動産も対象となるため、この相談のようなケースが続出するのではないかと思います。

相続登記の申請には遺産分割協議書が必要ですが、原本を紛失してしまった場合は、再度相続人全員に連絡を取り、遺産分割協議の開催と協議書の作成を要します。コピーでは登記申請はできないのでご注意ください。

当時の相続人の一部の方が亡くなっている場合は、その方の相続人全員に協力をお願いしなければならず、関係者が増え労力を要します。これから相続を迎える場合、遺産分割協議書は相続人の人数分の原本を作成し相続人それぞれが保管しておいた方が後々安心です。

相続した山林や雑種地は売却先や寄付先が見つかりにくいです。そこで、国は相続した土地を10年分の保管料の支払いと引き換えに引き取ってくれる制度を4月27日からスタートします。相続土地国庫帰属制度といいます。引き取りの条件が細かく設定されていますが、相続した土地の処分に困っている人は検討してみてはいかがでしょうか。申請先は対象の土地が所在する都道府県の法務局です。生活の窓口では、相続に関するご相談を承っています。

<生活の窓口相談員(ファイナンシャルプランナー)平田純子>