両親は健在で、今はまだ元気に生活できていますが、そろそろ年齢的に介護が必要になると考えています。経験したことがないし、近くに相談できる知人もいないので介護費用のことが心配です。(60代、男性)

制度知り、ある程度見通しを

介護は先の見通しが立てにくいこともあって、あらかじめどのぐらいかかるのか知っておきたいお気持ちはよく理解できます。

介護保険料は40歳の誕生日前日を含む月から給与控除などの方法で支払いますが、特定疾病以外でサービスを利用できるのは65歳からです。そして利用には要介護認定を受ける必要があり、手続きに少なくとも1カ月はかかります。

介護保険が使えるサービスや支給額の上限は介護区分ごとに決められており、全額自己負担でまかなうものがあります。例えば、介護用具や介護着、オムツ、食費などが代表的ですが、住宅改修費や医療機関にかかった場合の治療費や入院費、交通費、宿泊費などは介護保険の対象外です。ただし、確定申告で医療費控除を使える場合があります。

介護保険の対象サービスの場合も、支給額の上限が設定されていて、要介護5で月額三十数万円です。支給額の範囲内では、自己負担は支給額の1~3割ですが、超えた分は全額自己負担となります。

介護費用の大きな部分を占めるのが施設入居の際の利用料でしょう。在宅介護は金銭面での負担は軽くなる傾向ですが、その分、身体的・精神的負担が重くなりますので、要介護状態が進んだら施設入居を検討します。現在の平均介護期間は5、6年といわれています。個人差を考えても長くて10年程度ですので、先が見えなくてつらい方もある程度の見通しを立てて、自分がまいってしまわないよう折り合いをつけましょう。生活の窓口では、介護のご相談も承っています。

<生活の窓口相談員(看護師)金石憘栄(きえい)>