定年退職を数年後に控えています。個人型確定拠出年金を一時金として受け取りたいのですが、税制改正が頻繁にあるので税金のことが心配です。注意すべきことを教えてください。(50代、男性)

退職金の控除枠 動向に注視を

個人型確定拠出年金は、毎年の所得控除の対象になりますので所得税の節税メリットが大きい半面、60歳以降に受け取る際に、退職金との兼ね合いで注意すべき点があります。

退職金には分離課税の上、退職所得控除があります。具体的には、同じ企業に勤めた期間に応じて20年目までは年間40万円、21年目からは年間70万円の所得控除があり、勤続年数分の合計額が所得控除され、その残額を2分の1にしたものが課税所得となります。

国のデータによると、大企業のモデル退職金はおおむね2200万円ですが、税金は十数万円ほどで収まります。ただし退職所得控除の枠は使い切ってしまいます。中小企業の場合、大半の方は税金がかからず、控除枠も幾分残るでしょう。

一方、政府が来年度以降、退職金の増税を検討しているとの話が聞かれるようになりました。検討案では、退職所得控除が大幅に削減されるようですので、一時金で受け取る際は控除枠がどれぐらい残ることになるのか情報収集に努めてください。

多くの場合、確定拠出年金の受け取りは退職金の受け取りよりも後です。もともと退職金の受け取りから19年経過するまで控除枠が制限を受けているので、制度変更で退職所得控除の枠が減り、より多くの税金を払うことになりそうです。

毎年の所得控除にメリットのある確定拠出年金ですが、いずれ課税されるのであれば非課税枠が広がり、柔軟に使える新NISAも検討の余地がありそうです。

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<生活の窓口相談員(統括マネジャー)山本建>