自宅の相続 2人の娘に悩む
夫から相続した自宅に娘2人と同居しています。しっかり者の次女は既にマンションを持っており、気立ての優しい長女に自宅を相続させたいのですが、次女は「自宅は私が相続する」とかたくなです。(80代、女性)
自筆遺言を作り遺産分割を
相談のような事例では、娘さんを交えて話し合いをしてもまとまらないことが想定されます。こうした場合は、自身が作成した遺言により遺産分割をするのが一般的です。
遺言に関する相談はよくいただきます。過去にも紹介していますが、あらためて自筆遺言の作成について説明しましょう。
自筆で遺言をする場合、財産目録を除いて、次のような要件を満たす必要があります。①必ず本人が全文を書く②作成年月日と遺言者の戸籍上の氏名を自筆で書く③氏名の後に押印する④相続させる財産を特定する情報(不動産は登記簿通り、預金は通帳の通りなど)を記載する⑤どの財産を誰(続き柄、生年月日も)に相続させるかを自筆で書く。
なお、財産目録は各ページに署名・押印すれば、パソコンなどで作成し印刷したものでも有効です。
それぞれの相続人が必ず受け取ることができる最低限の遺産の分け前「遺留分」に配慮すれば、自身の所有する自宅を誰に相続させるかは自身で決められますので、娘さん2人に同意してもらう必要はありません。ただし、遺言通りに自宅の登記を変更する際、誰が手続きをするかで争いになりそうな場合は、遺言の中で遺言執行者をあらかじめ指定しておいた方がいいと思います。
自筆の遺言は法務局で管理してもらえますので、遺言の存在を娘さんに確実に伝えることができます。遺言の有効性でトラブルになるケースがあるため、心配な方は公正証書遺言を検討してはいかがでしょうか。
「生活の窓口」では、相続に関する相談も承っております。<生活の窓口相談員(統括マネジャー)山本建>