施設の身元保証、安全な選び方は?

 現在ケアハウスに入居しており、身寄りはいません。認知症に備えて、どなたかに身元保証人をお願いするようケアハウスから言われて途方に暮れています。安全な選び方を教えてください。(60代、女性)

緊急時の対応可能な事業者を

 地域包括支援センターから紹介された事業者に問い合わせてみたところ、身元保証事業から撤退しており現在は取り扱えないだの、トラブルを抱えて悪徳とのうわさが絶えない業者だの、何を信用して事業者を選定すればよいかと同様の不安を抱えて相談に来られる方が多いと感じます。

 参入障壁なく乱立している事業者の中から「家族の代わり」として唯一の事業者を選ぶことは極めて難しいです。身元保証人等がいないことを理由に入院・入所を拒まないように国は通達をしていますが、拒絶される事例はあります。

 なぜ医療施設や介護施設が身元保証人を求めるのでしょうか。身元保証人には二つの役割があります。まず滞納リスクを回避するための連帯保証です。次に医療に係る意思決定を含む緊急時の対応や死亡または退去時における身柄の引き取りです。施設側には、費用の不払いや死亡時の対応に備えておきたい事情があります。

 これまで所管する省庁や法律が整備されていませんでしたが、総務省を所管する省庁としてガイドラインを策定し、適正な事業者の育成を進めることになりました。終身サポート事業の健全な発展の第一歩です。

 安全な選択基準として緊急時の対応が可能な事業者を選びましょう。また財産の全てを事業者に遺贈するよう勧められた場合は避けた方が無難です。過去に預かり金を事業運営費として着服されるケースが発生しています。預託金は金融庁の監督下にある信託会社で管理・保全する事業者を選びましょう。生活の窓口では身元保証の相談も承っています。<生活の窓口相談員((ファイナンシャルプランナー)長沼満美愛>