相続したアパート、違法建築の疑い

 長年認知症を患っていた別居の母親が他界し、都内の築20年の自宅併用アパートを相続しましたが、違法建築物のようで建築確認済証がありません。利活用するか売却するかで悩んでいます。(60代、女性)

改修のローンや売却価格に影響

 お母様の介護でご苦労されたと想像します。その上相続した不動産のことでお困りのことと思います。お母様が認知症だったこともあり、1階部分は生活ごみが散乱しているそうですね。原状回復にはそれなりにお金がかかるかもしれません。

 賃貸している2階部分は現状満室で家賃収入があるという話ですので、1階も改修して賃貸用の部屋として貸し出すか、2階の賃借人に退去していただいて建物を解体後に住宅地として売却するかの2択になると思います。

 手元資金に限りがあるならば、そのまま賃貸に出す場合はリフォームローンなどで資金の手当てが必要です。ただし、違法建築物の場合、金融機関の融資がおりません。60代という年齢を考えると新たなローンを組むことに抵抗もあるかもしれません。一方、退去してもらう場合には、賃借人との話し合いが必要で時間と手間がかかります。

 そこで次の選択肢である売却を考えることになります。ただし、売却を考える場合も市場価格で売りにくいことは理解してください。売買仲介業者を通じて投資家に市場価格で売却する際にも違法建築物には金融機関の融資がつきにくいためです。

 このような時は建物付きで現金で買い取ってくれる不動産業者を探すことになります。売りにくい物件のため、当然ながら売値が下がりやすいことは覚悟してください。具体的には土地の市場価格から建物の解体費用を差し引いた金額が上限です。

 生活の窓口では、実家じまいや不動産の売却に関するご相談も承っております。<生活の窓口相談員(統括マネジャー)山本建>