兄と疎遠、死後の手続きを友人に

 私が亡くなっても、唯一の相続人にあたる疎遠の兄には知らせてほしくないです。気が置けない友人に見守られて最期を迎え、死後の手続きも友人にお願いしたいのです。問題はありますか。(70代、女性)

トラブル避け負担減らす準備を

 死後の手続きは誰にでもお願いできますのでご友人でも問題ありません。ただし注意が必要なのは、ご友人が唯一の相続人である兄とのトラブルに巻き込まれないように準備しておくことです。

 ご友人にお願いする事務作業には、火葬・葬儀・埋葬とお墓の管理、病院や施設利用料の清算、各種サービスの解約と精算などがあります。これらをお願いすることを死後事務委任といいますが、法定相続人とのトラブルを回避するために契約書を作成して委任する事務を明確にしておきましょう。

 また残された預貯金口座の解約と引き出し、不動産の処分といった法律関係の作業については別途公正証書遺言を作成して、ご友人を遺言執行者に指定する必要があります。お金のことはトラブルになりやすいので、面倒であってもご友人のためにしっかりと備えましょう。

 備えをしても、多岐にわたる作業を引き受けることでご友人には大きなストレスがかかります。年齢が近いとなおさらです。先に亡くなってしまう可能性も頭に入れておく必要があります。

 なお、ご友人は死亡届の届け出人にはなれません。病院の医師や高齢者施設の施設長が届け出してくれる場合もありますが、基本的には頼れません。その場合、さらにご友人と任意後見契約を結ぶ必要があります。

 ご友人に過度の負担をかけないためには、専門の事業者に個別の作業をお願いし、ご友人には見守ってもらう程度の依頼にとどめておくのが無難です。生活の窓口では、終活全般のご相談も承っています。<生活の窓口相談員(ファイナンシャルプランナー)長沼満美愛>