高齢の母 実家処分と通帳管理は?

 88歳の母を引き取ることになり、母名義の実家の処分と通帳の管理をスムーズにしたいと考えています。母は要支援1で現状は認知症でないと医師は言いますが、軽度認知症ではないかと思うふしもあります。(60代、女性)

家族信託など準備しスムーズに

 年齢を重ねると認知機能が衰えてくるのはやむを得ないことですが、お母様は認知症ではないとのことで一安心ですね。医師が認知症の確定診断をすると資産が凍結されると言いますがやや正確ではありません。

 資産は大きく金融資産と不動産に分けられ、関わる当事者、金融機関や司法書士の判断が資産移動を左右します。お母様の状態にもよりますが認知症が軽度であって自分の行為への認識、理解があれば、おおむね問題にならないと思います。何か事前対策を打つなら今すべきです。

 ご質問の趣旨に沿って認知症になった人の財産管理を本人以外が行うための事前対策としては、任意後見契約の締結、または家族信託の組成があります。いずれもお母様とあなたとの間で契約を交わす必要があります。争いを避けるために公証人立ち会いによる契約書作成をおすすめします。お母様に契約を結ぶ能力があると公証人が判断すれば契約は可能です。

 ただし、あなたが任意後見人になる場合、家庭裁判所に後見監督人の選任をお願いする必要があります。財産処分には後見監督人の同意が必要なので、よりスムーズなのは家族信託に基づく財産管理でしょう。

 家族信託は、お母様があなたにお願いする財産管理を具体的に示して契約を結ぶとともに、不動産は目的などが登記され、金融資産は信託口口座で管理します。現在、送金などをインターネットで行える便利なサービスもあります。

 生活の窓口では、専門家の協力を得て家族信託のご質問についても承っています。<生活の窓口相談員(統括マネジャー)山本建>