弟と音信不通 実家の名義変更は?

 弟と15年間音信不通です。弟の生存を信じていますが、彼の協力が必要な作業が滞っており、空き家となった実家の名義は10年前に亡くなった母のままです。実家の名義を私に変更することはできますか。(70代、女性)

裁判所に供託し共有解消が可能

 実家の名義を、亡き母からあなたに変更したいのですね。2024年4月から相続登記の申請が義務化されたこともあり、気がかりなのでしょう。あなた単独の名義に変更する方法を説明します。

 お母様の相続において、あなたと弟の2人が相続人ですね。まず、法定相続分の通り持ち分2分の1ずつ共有名義で相続登記をしてください。共有物の保存行為にあたるため、あなたが代表して登記申請することが可能です。

 次に、共有者である弟の持ち分2分の1をあなたが取得する旨の申し立てを裁判所に対して行います。所有者不明土地等に関する不動産登記法の改正が21年にありましたので、相続開始時から10年を経過したときに限り、所在等不明相続人との共有関係を解消できるようになっています。

 共有者である弟の持ち分価格を裁判所が定めるために、関連資料を提出します。その価格に相当する金銭をあなたが裁判所に供託した上で、弟の持ち分を取得することができます。売却を検討している場合は、同様に裁判所の決定を得てから、金銭を供託することにより不動産全体を第三者に売却できます。

 他方で、「不在者財産管理人」の選任を家庭裁判所に申し立てる方法があります。遺産分割協議や不動産の売却行為は財産管理人の権限を越えているため家庭裁判所の許可が別途必要です。ただし財産管理人によって売却できないこともあり得るため、先述した通り、金銭を供託する方法のほうが望ましいです。生活の窓口では相続のご相談も承っています。<生活の窓口相談員(ファイナンシャルプランナー)長沼満美愛>