認知症に備え遺言書に加筆したい
遺書はすでに作成していますが、私や夫が認知症になった場合のことを考えていませんでした。いざという時に備えて遺言書を加筆したいのですが、どのようにすればいいでしょうか。(70代、女性)
併せて遺言執行者指定も検討を
遺言をするには意思能力が必要です。意思能力とは、遺言をすることで自分の権利や義務がどのように変わるかを理解する能力のことを言います。財産の種類や金額、認知症の進行度によって異なりますが、認知症になれば遺言が無効になるリスクが高くなるのは事実です。あなたが認知症になった場合でも、認知症になる前にした遺言は有効です。遺言書には作成日付を必ず記載しますので認知症になった時期より前か後かは明確です。心配は無用です。
一方、あなたの死後、残された夫が認知症になっていた場合はご自身で相続登記をすることができず、家庭裁判所が選任した成年後見人に代理してもらうことになります。専門職の成年後見人に対する報酬が継続的に発生するだけでなく、事後に財産処分を家族だけで話し合って決めることができなくなります。
そこで遺言書の作成と併せて遺言執行者としてお子さんの誰かを指定しておくと夫の症状にかかわりなく、成年後見人に頼らずに相続手続きを進めることができます。ただし、早めに不動産を処分する見通しがある場合には最初からお子さんに名義変更した方がいいかもしれません。
遺言書への加筆は、訂正する文字を二重線で消し、訂正後の文字を記入して訂正した箇所に遺言書に使用した印鑑を押印します。そして欄外に訂正箇所、削除した文字数、追加した文字数を書いて署名します。
訂正方法を誤って遺言が無効になることが心配な方は公証人が関与する公正証書遺言を検討しましょう。生活の窓口では、遺言に関するご相談も承っております。<生活の窓口相談員(統括マネジャー)山本建>