死後の口座凍結 妻子の負担が心配
名義人の死亡で銀行口座が凍結され、相続手続きが終了するまで預金が引き出せないとのことですが、葬儀費用や残された妻の当面の生活費はどのように備えればよいですか。妻や子供に負担をかけたくありません。(70代、男性)
生命保険活用、葬儀代や生活費に
銀行口座が凍結される理由の一つに名義人の死亡があります。死亡直後に凍結されるのではなく、通常は相続人が金融機関へ連絡することで凍結されますが、新聞の訃報情報を基に凍結されることもあります。
ご遺族の中には口座が凍結される前にお金を引き出そうと考える方がいるケースもあり、要注意です。いったんお金が引き出されてしまうと、その後に多額の借金が判明しても相続放棄できません。また共同相続人間のトラブルになりかねません。
口座凍結を解除するには、遺言書、または遺産分割協議書、被相続人の出生から死亡までの記載がある一連の戸籍謄本、相続人の戸籍謄本、相続人全員分の印鑑証明書といった書類をそろえた上で手続きが必要です。作業には数カ月かかります。
また死亡による口座凍結の場合、仮払制度の活用が可能ですが、出金できる額に上限があり、相応の手間と時間がかかります。
配偶者や家族を亡くした悲しみに加え、親族への連絡や葬儀の準備など、行うべきことも多く、必要な書類をそろえ、金融機関に出向いて手続きを行うための時間や精神的な余裕は、正直なところないと思った方がよいでしょう。
家族に負担をかけたくないとのあなたの思いに備える策として、生命保険の活用が有効です。葬儀代として200万円程度、配偶者の当面の生活費として100万円程度、計300万円程度の保険金の受取人を相続人にして契約しておけばご家族の負担を軽減することができます。生活の窓口では、終活のさまざまなお困り事のご相談を承っています。<生活の窓口相談員(ファイナンシャルプランナー)平田純子>