実家の相続手続きをせず姉が他界

 3年前に他界した母の相続人である私と姉が、実家の相続手続きを行わないまま、先日姉が亡くなってしまいました。姉には夫と娘がいますが、実家の相続手続きはどのようになりますか。(60代、女性)

義兄、姪と分割協議 税の対策も

 被相続人の財産について遺産分割協議が終わらないうちに相続人の一人がなくなってしまうことを「数次相続」といい、手続き面で注意が必要です。

 本来、お姉さまは、お母様の財産の2分の1を相続する権利があり、その権利をお姉さまの相続人であるあなたの義兄と姪(めい)が継承します。今回のケースでは、実家の相続について、あなたと義兄、そして姪とで協議を行い、3人の署名と実印での押印をした遺産分割協議書を作成します。

 相続登記は、本来、発生した相続ごとに行うべき手続きで登録免許税などの費用負担も相続ごとに発生します。短い期間で数次相続が発生すると負担が重くなりがちですが、軽減方法はあります。

 例えば、遺産分割協議にて、お母様の実家をお姉さま一人が相続、その後、姪が相続することで、お母様から直接、姪への「中間省略登記」が可能です。中間省略登記の適用を受けるためには、中間の相続人は一人でなければなりません。

 また、相続財産の総額が相続税の基礎控除額を超える場合、相続の都度、相続税の納税義務があり、税の負担が心配ですが、「相次相続控除」という制度を受け税負担を軽くできる可能性があります。詳細は税務署や税理士に問い合わせましょう。

 親族が高齢になると数次相続発生のリスクが高くなります。数次相続が重なれば相続人が増えて手続きが煩雑になります。相続手続きを速やかに行うこと、遺言書を残しておくことでリスクを回避しましょう。生活の窓口では相続のご相談も承っています。<生活の窓口相談員(ファイナンシャルプランナー)平田純子>