実家に母と兄 亡父の相続登記は?

 父亡き後、母は兄と2人暮らしです。幸い父の遺産は相続税の基礎控除内でしたが、実家の相続登記未了です。兄に変更したほうがよいですか。また母は祖母から現預金を相続しており、2次相続が心配です。(40代、女性)

母の資産額を考慮して兄名義で

 2024(令和6)年4月1日から相続登記が義務化されました。それ以前に相続が発生した場合でも、登記が未完了であればその義務の対象となります。お母様もお元気で、意思能力もおありのようですので、早めに手続きを進めましょう。

 2次相続についてのご心配もよく分かります。お母様が相続によって多くの現預金を持っている場合、確かに次の相続の際には相続税の課税対象の元となるお母様の遺産額が大きくなり、負担が重くなる可能性があります。

 そのため、実家の名義はお母様を経由せずに直接お兄様に変更しましょう。お父様の遺産額が基礎控除内に収まっているからこそ、トラブルなく相続登記が可能です。

 家族で意見がまとまっていても遺産分割協議書は必要です。お母様とあなたが同意の証しとして実印を押し、印鑑証明書を添付します。不動産のみを対象とした遺産分割協議書も有効で、相続登記の際に法務局へ提出します。お母様が認知症になる前に手続きを速やかに進めてください。

 さらにお母様の資産をできるだけ増やさないよう工夫することが重要です。生命保険を活用した2次相続対策が有効です。非課税限度額内の死亡保険金を設定することで、相続税の負担を軽減できます。法定相続人が2人の場合、1000万円までの保険金は非課税となり、その金額を納税資金として利用できます。ただし、加入年齢にも上限がありますから早めの検討が良いですね。生活の窓口では、相続のご相談も承っております。<生活の窓口相談員(ファイナンシャルプランナー)長沼満美愛>