田舎の実家 1円譲渡の提案に困惑

田舎の実家を不動産会社に売却依頼しましたが、長らく進展しません。固定資産税の負担だけが続いています。最近、1円で売る提案を受けて戸惑っています。提案に乗るべきでしょうか。(70代、女性)

市場価値や維持費用を考え判断

 田舎にある戸建ての空き家を手放したくても買い手が見つからず、固定資産税の支払いだけが続くという悩みを抱える方からのご相談が増えています。一見「資産」を所有しているように思えますが、活用する予定がない場合、それは負担に変わることがあります。特に、不動産の価値が低く売却が難しいものは「負動産」と呼ばれています。

 ご相談のケースでは、不動産会社に売却を依頼したものの、長い間買い手が現れず、最近になって「1円で買い取る」という提案を受けたとのこと。戸惑う気持ちはよくわかりますが、1円譲渡を選択することは有効な方法の一つです。

 市場に出しても長期間売れなかったという事実は、土地の市場価値が極めて低いことを示唆しています。なぜなら、土地の市場価値が極めて低ければ老朽化した空き家や土地の維持管理に多くの費用がかかる田舎の不動産は持つだけでマイナスの財産効果があるからです。

 1円で譲渡する場合、贈与税や所得税などの税務上の問題が気になるかもしれません。しかし、今回のように一般市場に出した経緯がある場合、税務署は低額を適正な時価として認める可能性が高いです。売り主に利益が発生しないため、所得税や住民税も課されません。また、売買契約書に「1円で譲渡した理由」を明記すれば取引の透明性を確保し、不要なトラブルを防ぐことができます。不動産を所有し続けることが自分や子世代にとって負担となる場合、安くても譲り渡してしまうことで精神的な負担がぐっと軽くなります。

 生活の窓口では、不動産のご相談も承っております。<生活の窓口相談員(ファイナンシャルプランナー)長沼満美愛>