所有アパートが老朽化 継続を思案

親から相続した一筆の土地に自宅と賃貸アパートを所有していて、年間数百万円の家賃収入がありますが、築35年を過ぎて老朽化が進んできました。修繕費が増えてきて今持ち続けるべきか思案しています。(60代、女性)

子の経営意欲と相続税を考えて

 今の土地は四角い整形地で売却する場合には相当の評価額が見込まれますが、自宅とアパートのうちアパートを売却するには分筆が必要となります。その場合、アパート部分が旗ざお地となって高く売れないどころか融資がつかずに買い手が見つからない場合もあります。自宅も含めた土地全体を売却して住み替えるか、アパートを建て替えて賃貸経営を続けるか思案のしどころです。

 まずは同居されている息子さんの賃貸経営に対する熱意のほどを確認してみましょう。年齢面を考慮すると、賃貸経営の継続は次の代への継承が必須です。仮に、息子さんが、本業である会社員の就業の傍ら、賃貸経営に前向きなのであれば、不動産のまま保有継続との選択肢が優位になるでしょう。あなたが住み慣れた自宅での暮らしをこの先も希望するならばなおさらです。

 一般的に金融資産より不動産のほうが相続税制上のメリットがあります。金融資産の課税対象は額面通りですが、小規模宅地等の特例の適用によりアパートは50%、自宅は80%の土地の減額評価となります。

 また、アパートの建て替え時にローンを利用したケースでは、相続発生時のローンの残債を他の相続財産から控除(債務控除)できる点も相続税の減税に有効です。ただし、団体信用生命保険を付加したローンの場合、この債務控除ができなくなる点は注意が必要です。

 建て替えやローン利用には、年齢的にリスクもあるため、息子さんの協力が欠かせません。

 生活の窓口では、不動産と相続に関するご相談も承っています。<生活の窓口相談員(ファイナンシャルプランナー)平田純子>