3姉妹 遺言で遺産3分の2が私に
母が亡くなり遺言書では、不動産と金融資産の3分の2を私に、6分の1ずつを(私の姉妹の)長女と次女に相続させる内容でした。検認の手続きをすれば、遺言に従って分割協議書を作成できるのでしょうか。(60代、女性)
穏便に分割協議をやり直して
お世話をしてくれたあなたに多くの財産を残したいというお母さまの気持ちはよく理解できます。遺言書が残されていれば、相続人の総意で遺言より分割協議書を優先させるようなことがないかぎり分割協議書を作成する必要はありません。
ただし、あなたの相続分は長女や次女の遺留分を侵害しているとして遺留分侵害額請求を起こされるおそれがあります。子の遺留分として、長女、次女とも法定相続分の2分の1を最低限主張できます。法定相続人が3人だった場合、あなたの相続分は金融資産だけで、すでにそれぞれの遺留分ぎりぎりです。請求を起こされる可能性は十分にあります。
法律紛争に関しては弁護士にご相談いただくとして、その前に穏便に済ませられる方法として、法定相続人全員の合意により、遺産分割協議をやり直してお互いに納得できる相続分に仕分け直すことができます。
あなたの場合、長女と次女は遺言内容が不満なようで分割協議に協力的ではないそうですが、まずは協力を求めてみてはいかがでしょうか。遺言にあった相続分ではなく、3人で話し合って相続分を決めることがお母さまの気持ちに沿うことを伝えてみましょう。いきなり会って話し合うのが難しくてもお手紙などの文章で気持ちを伝える方法はあります。遺産分割協議自体に期限はありませんので時間はかけられます。
ただし、相続税の納付は相続から10カ月後に期限を迎えます。その場合、法定相続分の割合で相続税を計算し、申告と納付を行い、遺産分割協議がまとまった時点で更正請求をかけて過不足分の還付を受けます。
<生活の窓口相談員(統括マネジャー)山本建>