兄に法定後見人 母の墓じまいは?

 以前から墓じまいをしようとしていた母の認知機能が衰えてきたので、私が代わりに各種料金を支払うといった段階に来ています。ただ、法定後見人のついた兄がいて、そこに話を通さないといけないのかと案じています。(50代、女性)

管理権及ばぬが一言連絡が無難

 お母様に認知症の確定診断がされていれば、そもそもお母様の墓じまいを代理する者が必要です。家庭裁判所が選任する法定後見人か認知症になる前に自分で選ぶ任意後見人かの違いはありますが、基本的に支払いが難しくなると考えて差し支えありません。

 一方、お兄様に法定後見人が就任している場合、お母様の財産であるお墓について法定後見人の財産管理権は及ばないので原則として話を通す必要はありません。

 なお、お墓は祭祀(さいし)財産であり、相続財産ではありませんが、祭祀承継者に引き継がれます。法定後見人の財産管理権は相続財産に加えて、祭祀財産にも及ぶと考えられます。お兄様が長男である場合、将来引き継がれるべき財産という解釈が成り立ちうるので一言連絡しておいた方が無難です。

 お兄様の法定後見人が威圧的でまともに話をできる自信がないとのことですね。弟さんがいらっしゃるということなので話し合いは弟さんに事前に説明をした上で弟さんも交えて進めましょう。さらにトラブルの可能性を減らすには、現在のお墓の所有者であるお母様にお願いして祭祀承継者をあなたにしておく旨の遺言書を作成しておいてもらうといいでしょう。

 人は75歳を過ぎたあたりから体の機能や認知機能が格段に衰えていきます。お母様についても認知症になる前にお墓を含め、誰がどの財産を相続するのか決めておいた方がいいと思います。

毎日新聞では、相続のご相談も承っております。<生活の窓口相談員(統括マネジャー)山本建>