次女が老犬を世話 お礼を相続で

 私は大病を患い、老犬の世話ができません。快く預かってくれる次女に感謝しており、金銭的にもお礼をしたいのですが、手元資金が少ないためかないません。将来的に相続で清算できますか。(70代、女性)

「負担付死因贈与」の契約で確実に

 老犬の世話を引き受けてくれた次女に感謝の気持ちを伝えたいというお考えはよく理解できます。手元資金が少ない中で、将来的に相続でお礼する方法は現実的な選択肢となります。

 その場合、あなた亡き後、相続財産である自宅を売却して、契約または遺言で次女に現金を多めに相続させることが考えられます。これにより、金銭的なお礼が生前にできなくても、思いを実現することが可能です。

 まず負担付死因贈与契約を利用する方法があります。これは、愛犬の飼育を引き受けてくれる代わりに、財産を贈与する契約です。生前に双方が合意し、その内容を契約書として残すことで、確実性が増します。

 この方法を選べば、愛犬の飼育を献身的に続けたにもかかわらず、契約の撤回により財産がもらえなかったというリスクを回避でき、次女のサポートに報いることができます。契約書の文例として、「贈与者(あなた)は、受贈者(次女)に対し、預金三百万円及び愛犬を贈与する。本件贈与は贈与者の死亡によって効力を生じ、前記財産は受贈者に移転する。受贈者は、本件死因贈与契約による贈与を受ける負担として、愛犬を引き取り飼育する」とします。

 この契約は贈与税の対象ではなく、より税率が低い相続税の対象となるため、税負担を抑えることができます。

 また、別の方法として負担付遺贈がありますが、こちらは遺言書を通じて一方的に意思表示をするため、受贈者である次女の事前承諾は必要ない点が便利です。<たのシニア生活彩り倶楽部アドバイザー(ファイナンシャルプランナー)長沼満美愛>