父が他界 お金わずかで母が心配
父の他界に伴い財産を整理してみると、自宅とわずかな現預金しか残っていないことが判明しました。ためるという概念があまりなかったようで、今後の母の生活費や介護・医療費などが心配です。(50代、女性)
遺族年金を把握 支出見直して
資産の状況について、生前に子が親に尋ねることは気が引けるものです。そのため、一方の親、特に父親が亡くなったことをきっかけにその状況が判明するというのは、よくあるケースです。
相続財産は多すぎても少なすぎても、相続人にとって負担になります。生前に何らかの手を打っておかなかったという状態で相続が発生すると、出来得ることはあまり多くありません。
あなたの場合、早急に年金事務所で遺族年金受給の手続きを行い、今後、お母様が受給できる年金額を把握します。手続きは、原則としてお母様が行う必要がありますが、あなたが同席した方がよいでしょう。
遺族年金は所得税などが課税されない収入です。社会保険の健康保険料や介護保険料を控除して年金収入額の9割程度を月々の生活費予算とします。預貯金は、緊急時の予備費用として確保しておきましょう。
家計調査報告によると、65歳以上単身無職世帯の1カ月当たりの消費支出額は約14万9000円です。この金額を目安にして、実態と照らし合わせ支出の見直しを行います。手始めとして、利用頻度の低い有料の定額サービスを解約します。生活の質の低下に影響のないものから取り掛かり、どうしても必要なら無料サービスに切り替えましょう。
なお、高齢者施設入所に際して初期費用を捻出するため自宅の売却をする可能性があります。自宅の相続登記で名義をあなたにしておくなど、お母様の判断能力低下が影響しないよう対策を講じておきましょう。相続のご相談を承っています。<たのシニア生活彩り倶楽部アドバイザー(ファイナンシャルプランナー)平田純子>