親族共有とされる墓地 登記に不備
母を追うように父が亡くなり、一人息子の私が全ての財産を相続しました。先祖代々の畑の一画の土地に父を含む親族3人の共有名義とされる墓地があり、登記事項証明書には表示登記しか明記されておらず、権利部がありません。(60代、男性)
共有者の確定を司法書士に依頼
法務局で登記事項証明書を取得すると分かりますが、証明書には表題部と権利部があり、権利部は甲区と乙区に分かれています。表題部は土地を分筆すれば証明書に記載されますが、権利部は最初に権利を保存するための登記をしないと記載されません。
今回のお話は、墓地用地として分筆した後、誰も権利を保存しなかったため起きたものと考えられます。こうなってしまうと、親族3人の共有なのかどうかももはや分からないですね。
お子さんは娘さんお一人だそうですね。お墓は遠方にあるそうでご自身のお元気なうちに整理しておきたい、娘さんに迷惑をかけたくないというお気持ちよく分かります。
一方、先祖代々のお墓に自分は入りたいと希望しており、権利部に自身の名前を登記しておきたいのでどうしたらいいかというご相談です。
共有である以上、所有権を登記するためには共有者全員の共同申請が必要です。しかし、権利者の名前すら記載されていないので共有者の範囲の確定が必要です。おそらく分筆前の土地の所有者のご子孫を全員当たる必要があると思われますが、詳しくは登記の専門家である司法書士に依頼する必要があります。相談者は関係者の手を煩わせたくないとのことですが、難しいと思います。
相続登記が義務化され、やむを得ない理由がない限り、登記を行う必要があります。今回のケースがやむを得ないかどうかの議論はさておき、ひとまず一人だけでも可能な相続人申告登記を行っておきましょう。先祖代々のお墓も、早めに整理をしておきたいものです。<たのシニア 生活彩り倶楽部マネジャー(統括マネジャー)山本建>