昨今、資産のデジタル化が浸透しています。新型コロナの影響で急速に進展した感があるため、いまだ気付いていない新たな問題をはらんでいることも容易に想定できます。相続においても、デジタル遺品は新たな問題になるでしょう。相続税の申告からデジタル遺品が漏れないように備えておきましょう。
そもそもデジタル遺産とは何でしょうか。例えば、金融口座(ネット銀行・ネット証券・仮想通貨=暗号資産=など)、有料会員サービス(動画や音楽のサブスクリプション=定額サービス=など)、ポイント(マイレージなど)、その他(バーコード決済アプリの残高、電子マネー)など電子管理されているため目に見えない財産です。
デジタル遺産の相続において遺族が最も困ることは、スマホなどの端末ロックを解除できないため、実態がつかめないことです。ロックを解除する際に、推測したパスワードを入力するも、連続で間違えると端末が初期化されることがあります。データが初期化されるとお手上げ状態、亡くなった本人しか把握していない資産と負債について知り得るすべが無くなってしまいデジタル遺産を発掘できなくなります。なお、スマートフォンを早々に解約した場合はデジタル遺産にアクセスできなくなる可能性が高いです。パスワードの2段階認証に携帯電話やメールアドレスを使用しているからです。
例えば、ビットコインなど仮想通貨を家族に内緒で保有していた場合、死後の税務調査で初めて知らされることになります。保有額によっては相続税無申告による追徴課税が発生するケースがあります。また、サブスクを利用していた場合、契約期間満了後は原則自動更新されるため、利用料の振替口座が凍結されて契約が自動破棄される場合を除いて、解約するまでの滞納分を遺族に請求される可能性があります。
解決策としては、全てのデジタル遺産をリストアップしておくことです。アカウント情報をエンディングノートなどに書き留めておくと、残された家族と情報共有できて安心です。余計な手間をかけないように備えておきましょう。
<生活の窓口相談員(ファイナンシャルプランナー)長沼満美愛>