所有者不明の土地の問題解決に向けて、所有者不明土地関連法の施行期日が閣議決定されました。不動産登記法が改正され、所有者が不明となる土地がそもそも発生しないように相続登記が義務になります。施行は2024年4月1日です。

 手続きは、より簡素になり、合理化されます。不動産の登記名義人が既に亡くなっている場合、法定相続人が単独で相続登記を申し出ると、登記官の職権により登記できるようになります。ただし、持ち分は登記されません。

 また、相続人にとって不要な土地を相続することが金銭的にも心理的にも負担であるため、政省令で規定した一定の要件を審査して、法務相が承認すれば国庫に帰属させることが可能になります。施行は23年4月27日です。地目・地積・周辺環境などの実情を考慮して審査されます。審査手数料と10年分の土地管理費相当額を申請者が納付しなければなりません。10年分の管理費は、市街地の宅地200平方メートルにおいて80万円程度を目安に見当をつけるとよいでしょう。崖がある土地、権利関係に争いがある土地、担保となっている土地、他人に使用されている土地、阻害する工作物がある土地などは要件に該当しません。

 なお、不明な共有者と共有状態にある土地の場合、裁判所が関与して公告などをした上で、残りの共有者が同意すれば共有物の変更行為や管理行為が可能になります。共有関係を解消して取得したい場合は、不明共有者の持ち分に相当する金銭を供託すれば可能になります。施行は23年4月1日です。

 遺産分割されずに長らく放置されている土地に関して、相続開始時から10年を経過した後の遺産分割は、原則として法定相続分(又は指定相続分)で簡明にできるようになります。施行は23年4月1日です。

<生活の窓口相談員(ファイナンシャルプランナー)長沼満美愛>