本来生命保険の保険金は、被保険者に万が一の事があったときに残された家族を経済的リスクから守るためのお金です。子供が独立した年金生活の夫婦やおひとり様は、一般的には生命保険の必要性が低いと考えられます。ですが状況によって、生命保険契約が必要なケースや有効なケースがあります。代表的な六つのケースを紹介します。
①残された配偶者などの生活費が不足するケース
配偶者などに支給される年金や相続財産として残した貯蓄などでは生活費の不足が見込まれる場合、保険金があれば遺族は安心して生活ができます。
②財産を確実に残したい特定の人がいるケース
保険金は、契約で指定された受取人の固有の財産としての性格を持つので、特定の人に確実に財産を残したい場合は保険契約が非常に有効です。
③自分の葬儀費用を準備したいケース
自分が亡くなった後、配偶者の生活費などは心配ないものの、遺族に自分の葬儀費用の負担をかけたくない場合は、数百万円程度の保険金契約が有効です。
④相続税の負担軽減策が必要なケース
一定の資産があり相続税の課税が見込まれる場合に、財産の一部を生命保険に移しておくと、保険金には500万円×法定相続人の非課税枠があります。
⑤相続税の納税資金確保が必要なケース
一定の資産があり相続税の課税が見込まれるものの、財産の大半が不動産や自社株で金融資産が少ない場合、生命保険金を準備しておけば、相続人が納税資金の準備に困りません。
⑥遺留分対策が必要なケース
事業を承継させるなどで大半の財産を特定の子供に相続させると、他の子供の遺留分を侵害するという場合に、保険金の受取人を事業承継者の子供にした保険契約を準備しておくと遺留分対策として有効です。
シニアにとっての生命保険契約は、特に相続の際に、必要に応じて活用できる有効な手法のひとつと言えます。ぜひ一度、終活の一環として生命保険の必要性を考えてみましょう。
<生活の窓口相談員(ファイナンシャルプランナー)平田純子>