森林所有者の中には、この先の森林経営管理について負担に感じる方がいらっしゃいます。高齢になると、次世代への相続財産になることを心苦しく思う方もいらっしゃいます。林業経営に適した森林であれば、林業経営者に経営管理を委託すればよいのですが、委託先になる民間事業者を自ら見つけることは、そう簡単なことではありません。林業経営に適さない森林については、手入れ不足の結果として土砂災害などの発生リスクが増大し、賠償事故につながる危険があるため所有を続けることが心的ストレスの要因になりかねません。

 そこで、森林経営管理法(2019年4月施行)に基づいて森林経営管理制度がととのいました。私有林・人工林の所有者などと担い手をつなぐ仲介の仕組みです。どのように森林を今後管理していきたいかについての意向確認を行う調査が市町村において順次始まっています。

 市町村に管理を委託したいと希望すれば、経営管理を林業経営者に市町村が再委託するか、または、市町村が防災・減災や環境保全のために直接管理して整備を行います。現地調査をして境界を確認し、所有者を含む関係権利者と協議を重ねて合意すれば経営管理権集積計画を立てて経営管理権を設定します。土地所有権は市町村に移転することはないため、相続登記をする必要があります。寄付や買収を希望すれば、市町村が寄付を受けたり、買い取る民間の事業者を紹介したりできるケースもあります。

<生活の窓口相談員(ファイナンシャルプランナー)長沼満美愛>