高年齢再就職給付金とは、勤務先を退職後、雇用保険の基本手当(失業手当)を受給中の60歳以上の人が再就職し、雇用保険の一般被保険者となった場合に、要件に該当すれば受け取れる給付金です。この給付金は、再就職先の賃金月額が、基本手当の基礎となった賃金日額の30日分の額の75%未満である場合に、再就職先の賃金月額の15%を限度に給付されます。

 受給要件は、①雇用保険の被保険者であった期間が5年以上ある②再就職した日の前日における基本手当の支給残日数が100日以上ある③安定した職業に就くことにより被保険者になった――です。

 対象は被保険者が60歳に到達した月から65歳に達する月までで、支給期間は基本手当の支給残日数が200日以上の場合が2年間、100日以上の場合が1年間です。支給額には限度額があり、再就職先の賃金月額が36万584円以上の場合は、給付金の支給はありません。賃金月額と給付金支給額の合計が36万584円を超える場合は、36万584円と再就職先の賃金との差額が支給されます。ただし、支給額が2061円以下の場合は支給されません。なお、限度額は毎年8月に見直されます。

 以前取り上げた「高年齢雇用継続給付金」との違いは、雇用保険の基本手当を申請して受給中か、申請していないかの違いで、高年齢雇用継続給付金は基本手当の申請をしていない(基本手当を受給していない)ことが条件です。

 また別の制度で、雇用保険の基本手当受給中の人が早期に安定した職業に就いた場合に、基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あり、要件に該当した場合に支給対象となる「再就職手当」がありますが、高年齢再就職給付金との併給はできません。60歳以上の人はどちらにも該当するというケースが多いですが、慎重に選ぶ必要があります。

<生活の窓口相談員(ファイナンシャルプランナー)平田純子>