リースバックとは、現在住んでいるマイホームを売却し、売却後は買い主と賃貸契約を結ぶことで、もとの住まいに住み続けることができるという一種の資金調達の仕組みです。通常、まとまった資金を得るためにマイホームを売却したら、その後はその家から退去する必要があるため、新しい住まいの手配に大きな手間とコストがかかり、体力面や精神面でも大きな負担となります。
リースバックはまとまった資金を得られながらも、もとの住まいに住み続けることができる点が最大のメリットです。付随するメリットとして、引っ越し代が不要となることや、マイホームを売却することで固定資産税や修繕費、火災・地震保険などの負担が軽減できる点が挙げられます。
また、不動産を売却したい場合は買い主を見つける必要があり数カ月以上の時間を要しますが、リースバックは不動産会社やファイナンス会社などの専門の業者が買い取るケースがほとんどのため、現金化までの時間が短く済む点も特徴です。これらの特徴から、老後資金の確保のために利用されるケースも多いようです。
一方、リースバック利用の注意点として、売却価格が一般の相場より安くなる傾向があることや、所有権が買い主に移るために、居住ルールや制約が設けられ、自分の持ち物だったこれまでと比べ窮屈な生活環境になることも考えられます。そして、継続的に家賃を支払う必要がある点が最大の注意点ですが、その家賃は、一般的に、売却価格を基準にその地域の賃料相場から期待される利回りで決まるため、買い主との交渉によっては、賃料相場より高くなってしまう恐れもあります。
売却価格や賃料については、複数社から見積もりを出してもらい、慎重に検討することがとても大切です。また、家賃を支払いながらの居住期間が長くなると、家賃の負担額合計が売却益を超えてしまうことにもなり得ますので注意が必要です。
リースバックは、該当の家を相続する相続人がいない、かつ、所有者(居住者)が数年後に老人ホームなどの高齢者施設への入居を予定しているなど、今後の居住期間がある程度定まっているケースなどに利用を検討するとよいでしょう。
<生活の窓口相談員(ファイナンシャルプランナー)平田純子>