私の作ったメロン

トマト

 10月に入ると、冬から翌春にかけて収穫を目指すダイコンやコマツナの種を撒く。家庭菜園のお話だ。毎年、小さな庭で夏野菜を栽培している。春に土を作り、大型連休ごろに苗を植え、7月8月に収穫期を迎える。今年は欲張って、ナスとキュウリ、ゴーヤーを4つずつ植えた。6月に入ると苗はそれぞれ育ち始め、7月初めごろから、まずナスが収穫できるようになった。キュウリもそれなりの出来。放っておくと、いくらでも巨大になる。うっかり大きなヘチマのサイズにしてしまったものもあった。トマトも大小合わせて30個はもいだ。だんだん小ぶりになってきたが、摘んですぐに食べるトマトの美味なこと!ゴーヤーも連日おひたしにして食べられる出来だった。さらに、メロンを1苗隅っこに植えておいたら、なんと実が。毎日観察して表面に「網」が揃ってしばらく経ってから収穫し、有り難く「私の作ったメロン」を食べた。

 9月に入り、夏野菜は終了。今夏の出来はまずまずで、満足至極であった。冒頭に書いたように秋から冬にはダイコンやコマツナの種を撒いて、春先まで収穫する予定だ。

 菜園は特に手入れをしない「自然の放置栽培」と云え、真摯に野菜作りを手がけておられる方からはお叱りを受けそうだが、水だけをやり続け、実を付ければ食べる毎日である。

 おかげで野菜を買わなくなってしまった。商品として売る訳ではないので、虫に少々食われてもOKだ。

 コロナ禍で外出もままならない日々が続くが、庭でもベランダでも、自ら野菜を育てて、それを食べてみるのは、存外、良い「体験教育」と云えまいか。スーパーマーケットで売っている野菜を買って食べるのではなく、苗から葉が広がり、ツルが驚く早さで伸びていく様や実がどのようになるのか、色はどう変わるのかといったプロセスを経験すれば、食べることができる植物の不思議を体に染みこませるだろう。自ら育てた野菜を味わう楽しみは、子どもにも大きな影響を与えるはずだ。

 とはいえ、私も野菜作りの楽しみを知ったのは、15年ほど前。小学生のころから経験しておけば良かったと後悔しきりであった。歳を重ねると、この「自ら栽培」に惹かれる。もちろん完全自家消費できるほどの菜園ではないので、趣味の域は出ないのだが「こうやって作物を作り、食べて、生きるのだな」と実感する。同好の方も多かろう。ぜひ、お考えや工夫をお教えいただきたい。【さ】

ベランダ