素晴らしい(⾯⽩い)本に出合うといつも三つの事を考えてしまいます。
まず物理学的なことですが、⼀般的な書物という個体は⽩い紙に⽂字が印刷されているだけです。漢字やカタカナもありますが、基本的には「あ」から「ん」まで50⾳がランダムに並んでいるだけです。ランダムに並んだ⽂字は「⽂」になるわけですが、素晴らしい本(⽂章)を読むと感動したり、笑ったり、泣いたり、驚いたりします。
どうしたら50⾳⽂字の組み替えだけで⼈を感動させることができるのでしょうか。今まで天⽂学的な⽂字数を⾒てきたのに……。書物にはいつでも新しい感動が待っています。
次に科学的なことですが、眼球に映るのは単なる「⽂字」なのですが、書物からはその情景や匂い、⼈間の⼼の中、風⼟などさまざまな事象が頭の中に湧き出てきます。紀⾏ものなら⾏ったこともない⼟地なのに⾏った気分になり、⾷べたこともないのに郷⼟料理を⾷べた気分になります。冒険ものなら⾃分事ではないのに⼼臓がドキドキ、⼼がワクワクしたりして書物の世界に⼊り込むことができます。
最後に経済学的なことですが、⼀般書物はせいぜい数百円〜数千円かと思います。わずかな⾦額で⼈⽣の幅が広がったり、幸福感を味わったりできるのも書物の良いところでしょう。
「本」っていいものですよね。【し】