昨年夏に開催された東京オリンピック・パラリンピック大会で活躍したボランティアを紹介する書籍「ボランティアたちの物語 東京2020オリンピック・パラリンピックの記録」(小峰書店発行)が最近発売された。陸上競技練習場で選手のサポートをする女性研修医や、仙台市で東日本大震災の体験を伝える語り部の女性、サッカー競技場の入場管理をする車いすの男性ら6人が登場。奮闘した日々を回想しながらボランティア活動を通じて感じた思いなどが紹介されている。
監修した公益財団法人日本財団ボランティアセンターは「選手と、その熱き戦いを、約9万人のボランティアが支えました。9万編の物語がそこにはありました」とPR。小学校高学年以上を対象にした児童書だが、大人も楽しめて読み応えのある内容になっているという。
3年ほど前、東京大会のボランティア参加希望者と接する機会があった。希望者は仕事をリタイアしているシニアをはじめ、主婦、高校生、大学生ら老若男女の幅広い層だった。動機を尋ねると、「自分の人生に二度とない日本開催なので関わってみたい」「これまでのボランティア経験を生かしたい」「日本の良さを世界の人たちにアピールしたい」……。どの人もしっかりした目的意識を持ち、熱く語る姿に圧倒された。
2012年ロンドン大会でボランティアは「ゲームズメーカー」と言われた。文字通り、大会を作る人々で、運営などを支える陰の主役だ。ボランティア代表者は閉会式壇上で感謝を込めた拍手で称賛される。
会場案内や競技運営、医療、表彰式、警備のサポートなど、ボランティアが担う役割は幅広い。そこには、手助けを惜しまないボランティアの人たちの活躍があり、大きな功績として残り続ける。【ひ】