続くコロナ禍で、なかなか旅行気分になれない日々が続いてきたが、ここにきて「全国旅行支援」も11日から始まり、観光地にはこれまで以上に宿泊客が戻るだろう。旅は大きな気分転換。リラックスできる良質な旅をしたい。

 私は長野県がとても気に入り、毎年のように出かけ、上高地がこの上もなく好きだ、という話は前回書いた。その上高地の次に気に入っているのが美ケ原だ。

 学生時代から幾度となく訪れ、夏はその爽やかさに、冬場は雪深い高原の静寂にひかれた。夏も冬も、そこは音がしない場所である。街場では各所にあるスピーカーから、音楽やらアナウンスやらが一日中流れ、車やバイクの騒音もある。音のない世界を探すのはなかなかの苦労なのだ。北アルプスの山々に行けば、その静寂に浸れるが、松本駅から車で1時間ほど走ると着く美ケ原は、私にとって比較的お手軽に音のない世界を体験できる貴重な場所なのだ。

 近くに人がいなければ、まったく音を聞くことがない。学生時代に初めて体験した時は、大いに驚いた。こんなにも空が大きく、高原が広がる壮大な景色の中にいて、音がない「無音」の素晴らしさに大いに心を打たれた。以来、時間を見つけてはせっせと通っている。

 大きな自然の中にある無音。一度体験されることをお勧めする。【さ】

早春、美ケ原のご来光。もちろん無音の中