先だって、所用があり鳥取に赴いた。鳥取といえば「鳥取砂丘」である。

 もちろんテレビ番組や写真で見たことはあるが、生まれてこの方、行ったことがない。仕事やら観光やらで全国各地に行かれる方も多いだろうが、私は結構出無精で、国内でも訪れたことのない県ばかり。せっかくの機会、国内最大の「砂場」をぜひとも見ようと出かけた。

 圧倒的なスケールに驚嘆し、曇天ではあったが、その色合いの美しさに見とれた。しばらく前に雨が降り、案内してもらった方は「今日は歩きやすいので海の見える上部まで行きましょう」。大いなる砂の集まりなので、当然ながら歩きにくいのであるが、雨で砂が湿っているので足をとられることがないのだという。

 固めの砂を踏みしめて歩くこと10分。日本海を望む上部にたどり着くと、海からの冷たい風が心地よい。海岸沿いに続く砂丘の景色がまた素晴らしい。確かに、これは見事な自然の造形である。海岸砂丘なのに造形物としての美を大いに感じさせてくれる。1955年には国の天然記念物に指定されている。

 砂丘入り口には観光用のラクダが数頭。「月の沙漠」の光景である。近くにある「砂の美術館」はあいにく閉館中。見事な砂像の展示が売り物らしく、案内者も「ぜひとも見てほしかった」と残念がっていた。

 ともあれ30分程度の滞在だったが、満足至極の砂丘体験であった。【さ】