高齢者講習を受けるドライバー=東京都内の自動車教習所で2018年4月9日、田村佳子撮影

 75歳以上の高齢ドライバーが運転免許を更新する際、信号無視などの違反歴がある人は運転技能検査(実車試験)が義務化される見通しとなった。警察庁は規定が盛り込まれた改正道路交通法(2020年成立)への意見募集を経て、来年5月13日から施行する予定だ。

 75歳以上のドライバーには17年3月12日から高齢者講習以外に記憶力や判断力などを確認する認知機能検査を導入している。車のブレーキとアクセルを踏み間違えるなど、高齢者が起こす交通事故は後を絶たず社会問題化しており、事故防止に向けた取り組みがより一層強化される。

 実車試験は免許更新時の誕生日160日前から過去3年間に、信号無視や速度超過、逆走などの死亡・重傷事故につながる危険性が高い違反をし、来年10月12日以降に75歳以上の誕生日を迎える人が対象。試験は一時停止や右左折などの課題を採点する予定で、合格しないと免許更新はできない。免許有効期間満了までの6カ月間に受検しなければならない。

 また、事故を未然に防ぐ機器を搭載した安全運転サポート車だけが運転可能な限定免許制度も開始する。年齢制ではなく、本人の申告で交付される。

 警察庁によると、今年1~6月の上半期で75歳以上が運転する死亡事故は156件発生している。ハンドル操作の誤りやブレーキとアクセルの踏み間違いなどの操作ミスが要因の4割近くを占めている。【関根浩一】