一斉にスタートするシニア選手

 コースに設置された多くの障害物をクリアしてゴールを目指す過酷なレースに、若者に交じってシニアも挑戦している。5月28日に千葉県袖ケ浦市のテーマパーク・東京ドイツ村で開催された「SPARTAN RACE(スパルタンレース) in 千葉」で、10キロコースに障害物が25カ所設置されているスーパー競技などに50歳以上の男女計約550人が出場。最高齢は72歳の女性で、夏日を思わせる厳しい暑さの中、激走を展開した。

 千葉大会は、スーパー競技以外に、5キロコースに20カ所障害物があるスプリント競技などが行われ、首都圏などからシニアを含めて計約5000人が出場。賞金の出るエリートクラスや年齢別でタイムを競うクラス、完走を目指すオープンクラスを実施した。走力のほか、コースの障害物をクリアする筋力なども必要で、日ごろからフィットネスジムで鍛える選手らが体力の限界に挑んだ。

急勾配の壁越えに挑む選手

 障害物は急勾配の壁越えや綱登り、鉄球運び、うんてい、やり投げなどさまざまで、クリアできない場合は規定数の腕立てジャンプが課されタイムをロスする。ゴール後、疲れ果てた表情で足を引きずる選手もいて、レースの厳しさが表れていた。

綱を登る選手

 55~59歳女子クラスに1時間49分20秒の記録で優勝した東京都北区の新井幸子さん(57)は、今回が13回目の出場。「結果に満足している。レースは疲労した体でもどれだけのレースができるのか、自分の体力を知ることができる。次回の20キロレースで優勝すれば3年前に続いて2回目の3冠を取れるので頑張りたい」と意欲を見せていた。

 ジムで先輩から誘われたのがきっかけで、5年前からレースに参加するようになったという埼玉県所沢市の大根田結花さん(59)は、今年60歳になることで60歳以上女子クラスの出場となり、2時間15分52秒で優勝。「レースの過程は苦しいが完走した時の達成感に魅力がある。重いものが持てるうちはレースを続けたい」と話していた。

 また、週4、5日ジムに通う東京都豊島区の小西啓太郎さん(62)は、60歳以上男子クラスで、1時間41分6秒で2位となった。「優勝を狙っていたので悔しい。一つだけ障害物をクリアできずランが遅かったのが敗因」と分析。同世代のシニアに対しては、「自分が高齢と思うとネガティブになる。汗をかき、歩いて体を動かすことで老化を防げるのでは。外に出て行くことで仲間も増える」とエールを送っていた。

 スパルタンレースは米国が発祥の世界最高峰の障害物レースで、コースの距離と障害物数ごとに競技が分かれており、世界40カ国で年間170レース以上が行われているという。日本は2017年に初めて開催され、次回は9月に新潟県のガーラ湯沢スキー場での実施が予定されている。【関根浩一】

表彰される(左から)新井さん、大根田さん、小西さん