熱心に講義を聴く受講生ら

 シニアが抱える不安や悩みなどをテーマに専門家が講義する「たのシニアフェス 一日シニア大学」(毎日新聞社「生活の窓口」・「たのシニアウェブ」主催)が8月23日、東京都渋谷区の実践女子大渋谷キャンパスの会場とオンラインで開かれた。今年3月に続いての開催。講義は4時限まであり、計約300人が聴き入った。

 1時限目は、社会福祉法人聖風会足立区地域包括支援センター六月センター長の中村孝幸さん(49)が、センターの活用法について講義した。中村さんは、高齢期に起こりうる困りごとやその際に利用できる制度などを紹介し、「センターは社会福祉士や主任介護支援専門員らを配置して、どんなことでも総合相談支援で受け付けている。自分の住む地域のセンターの連絡先を事前に調べておくことも重要」と力説した。

中村孝幸さん

 2時限目は、豊かなセカンドライフに向けた準備について、「SOMPOひまわり生命」の2級ファイナンシャルプランニング技能士、望月大輔さん(41)が、セカンドライフにおける生活費や住宅、病気、介護などへの対策を伝授。その上で、年齢ごとの収入や支出、金融財産、住宅ローン残高などを明記するライフプランのシミュレーションづくりを勧め、「自分の将来への年表となり、老後の不安解消につながる」と訴えた。

望月大輔さん

 昼食休憩を挟んだ3時限目では、一般社団法人高齢者住宅協会の住宅・住生活部会部会長、吉田肇さん(61)が、「高齢者の住まいのあり方」と題して講義した。今後も現在の自宅に住み続ける場合のポイントとして、地域の介護、医療、訪問サービスの充足度、在宅支援度や在宅介護の可能性などを挙げた。

吉田肇さん(中央奥)

 また、4時限目は、セカンドライフに向けたペットとの生活などが紹介された。基調講演では、単身生活者らのおひとり様がいまから考えておくべきことなどについて説明があった。

 東京都世田谷区から訪れた女性(79)は「関心のある内容で、介護を受ける際の具体的な手続きなどが理解できた」と感想を話していた。【関根浩一】