家を建てる娘に援助 贈与税は?
私の所有する土地に一人娘が家を建てる予定で、その建設費用について、資金を援助したいと思っています。娘への相続財産として考えていた資産を贈与税がかからない方法で援助したいです。(60代、男性)
要件満たせば30万円まで非課税
近年の物件価格や建築資材の高騰などの影響もあり、もともと人生の3大支出と言われる住宅購入に関して、経済的なハードルがさらに上がっています。教育費の負担などを踏まえるとなおさらです。いずれ、相続財産として継承しようと考えている資産について、子が必要としているタイミングや用途で資金援助できたら、親世代、子世代の双方にとってこの上なく喜ばしいことですね。
一方、贈与税は相続税に比べまとまった金額の基礎控除もなく、税率も高いことから、資金援助に慎重にならざるを得ません。この生前贈与を取り巻く税負担の救済措置ともいえる制度がありますので、要件を満たすのであれば活用を検討しましょう。
資金用途が住宅取得を目的とする場合、最大1000万円まで非課税の贈与が可能です。この住宅取得資金の一括贈与と併用ができる制度として、暦年課税、または、相続時精算課税のいずれかが選択できます。
暦年課税なら基礎控除額の110万円を加えた額まで、相続時精算課税なら特別控除額の2500万円と基礎控除額の110万円を加えた額まで非課税で贈与することが可能です。要件を満たせば、最大3610万円の贈与に対し税金がかかりません。ただし、相続時精算課税を適用した基礎控除後の金額は、贈与者が亡くなったときの相続税の課税価格に加算となる点には注意です。
なお、住宅取得の一括贈与と相続時精算課税の制度の利用には、贈与を受けた年の翌年に贈与税の申告が必要となります。生前贈与に関するご相談を承っています。<たのシニア生活彩り俱楽部アドバイザー(ファイナンシャルプランナー)平田純子>
