叔母の空き家 地主が更地返還要求

 子のない叔母が借地に建てた自宅に長年住んでいましたが、認知症で施設入所し、私が財産管理をしています。地主から更新時の更地返還を求められました。解体費用が高額なのに、応じるべきですか。 (50代、女性)

管理と支払い継続 出方を見て

 地主は、地代の滞納や建物の老朽化による近隣への影響を心配しているかもしれません。次世代に底地のまま引き継ぐことなく、今のうちに整理したいという思いもあるのでしょう。このまま放置されるようなことがあれば、強制退去のために建物収去土地明渡請求訴訟を起こさざるを得ず、地主側で建物解体費用まで負担する可能性があるなど、面倒な事態を避けたいという意図も感じられます。

 ただし、地代の支払いも滞ることなく適切に管理しているのであれば、地主の要求を無理に受け入れる必要はありません。あなたが法定相続人であるならば借地権を相続する意向があることを伝えて反応を見るのも一案です。

 地主から借地契約が更新されない場合は、建物を時価で地主に買い取ってもらえます。ただし、借地人が契約違反や合意解除をした場合はこの建物買取請求権を行使できませんので、築古でも解体を急ぐ必要はありません。

 一方、借地権を地主に買い取ってもらいたい場合は、お願いベースの交渉になります。地主が応じない場合は第三者に譲渡する方法もありえます。ただし、地主の承諾と譲渡承諾料の支払いが必要ですし、それ以前の問題として叔母様が認知症なので成年後見制度を利用したとしても今譲渡を進めるのは困難でしょう。

 結論としては、これまで通り空き家管理と地代支払いを続け、借地契約の更新時に地主の出方を見て判断する、です。借地人の権利は法律で守られているため解体を急がず冷静に対応しましょう。<たのシニア生活彩り俱楽部アドバイザー(ファイナンシャルプランナー)長沼満美愛>