自宅の相続 長男の次は次男の子に

 私には2人の子がいていずれも所帯を持っています。次男には子供がいますが、長男には子供がいません。私の自宅不動産をまずは現在同居する長男に、その次は長男の嫁ではなく次男の子供に相続させたい。(70代、男性)

家族信託の活用で確実に継承

 自ら築いた財産や代々継承されてきた大切な財産を子供のいない子に継承させることで、最終的にその配偶者や親族へと継承されてしまうことを懸念してのご相談です。

 望んだ相手に財産を相続させる方法として、最も一般的で有効なのは遺言書ですが、遺言書で財産の行き先を指定できるのは、1次相続(1回目の相続)に限定されます。長男の次は次男の子供へというあなたの希望をかなえるため、長男に遺言書を書いてもらう方法もあります。ただ、思い通りに遺言書を書いてくれる保証はありませんし、遺言書は書き直しや撤回が可能という点において、確実な方法とは言えません。

 家族信託を活用すると、限度はありますが、2次相続に限らず、さらに先の代まで財産の継承先の指定が可能です。家族信託とは、財産管理の認知症対策として注目が高く、後見人制度と比較し、財産の持ち主に代わってあらかじめ指定した家族が管理できる点や継続的なコスト負担の面でメリットがあります。

 あなたのケースでは、委託者をあなた、受託者を次男とした家族信託で、第1受益者をあなた、第2受益者を長男、帰属権利者を次男の子供とすることで、長男が亡くなった後は、確実に次男の子供に継承させることができます。一方、長男としては、自分の死後、次男の子供に所有権が移ってしまい、妻が自宅に住めなくなってしまうと心配するかもしれませんが、ご心配は無用です。配偶者居住権という、相続時に被相続人と同居していた配偶者は、所有権がなくても自宅に住み続けることができるよう法的に守られています。<たのシニア生活彩り俱楽部アドバイザー(ファイナンシャルプランナー)平田純子>