資産運用 認知症の凍結対策は?
将来、老人ホームに入所の際の一時金や他の資金の不足は、株や投資信託で運用中の資産を売却して充てるつもりです。認知症になると証券口座も凍結 されると知り、早々に現金化しておくべきか悩んでいます。 (70代、男性)
新制度「家族サポート証券口座」も
認知症による財産の凍結が大きな社会問題となっています。いざ介護サービスを受けるのに大きなお金が必要となった時に財産を動かせないとなると途方に暮れてしまいます。 ご自身はともかく、子世代に迷惑をかけたくないですよね。
財産の凍結は証券口座も例外ではありません。インフレ対策として可能な限り運用を続けたいが、肝心な時に口座が凍結されるのは困る。そうならないた めにも事前の準備が不可欠です。
日本証券業協会で「家族サポート証券口座」が創設され、各証券会社も順次体制を整えています。原則として65歳以上の口座名義人が対象で、あらかじめ所定の手続きをしておけば、家族が代理人として証券口座内の資産の売買取引が可能となります。代理人は配偶者、子、孫に限定されます。
口座名義人は判断能力があるうちに代理人との間であらかじめ資産の管理・運用方針を定めて公正証書で代理取引の契約を結び、写しを添えて証券会社に申し込みます。ただし、家族サポート証券口座を導入している会社はまだまだ多くありませんので、事前に確認が必要です。
なお、証券口座の凍結が回避されても、出金先の銀行口座が凍結されては意味がありません。こちらも代理人制度などの登録が必要です。
また、不動産など幅広い資産の認知症対策には家族信託や任意後見制度などがあります。ただし共通するのはどの対策もお元気なうちにしかできないということです。たのシニア生活彩り俱楽部では、認知症対策のご相談も承っています。<たのシニア生活彩り俱楽部アドバイザー(ファイナンシャルプランナー)平田純子>