定年で家計が赤字 退職金運用は?

 定年退職後、再雇用で働いています。収入が減ったため、毎月の家計収支は少し赤字で貯金を取り崩しています。幸い退職金は口座に振り込まれたままの状態です。今からでも運用した方がよいですか。(60代、女性)

必要額を確保した上で分散投資

 物価上昇の状況下での老後資金の不安や長生きリスクの対策として、定年退職後も就業を継続する人が増えています。また、60代といえば、まだまだ健康でアクティブな人も多く、健康維持や健康寿命を延ばすためにも就業の継続が望ましいです。

 一方、再雇用の多くのケースでは、収入は定年前の60%程度というのが実態です。老後資金の不安を払拭ふっしょくするためにも老後生活の資金計画を立てましょう。

 まず、当面10年間での必要な預金の取り崩し額を計算します。65歳までの期間は給与収入と生活支出の差額、65歳以上では年金収入見込み額との差額のそれぞれ合計額に、旅行や自宅のリフォーム費用、車の買い替え費用といったライフイベントの予算額を加えた額を「10年間の必要取り崩し額」として確保します。

 確保の仕方は現預金が無難で、一部は3〜5年の定期預金を活用してもよいでしょう。日常の生活費の取り崩し用資金とライフイベント資金は、口座を分けて管理することをお勧めします。退職金などの直近襡年間で使用予定のない資金については、銀行の普通預金や定期預金が低金利のままだとインフレ負けしてしまうので運用して増やすことが欠かせません。ただし、周知のとおり、元本保証はなく資産目減りの可能性もあるので運用方法や投資商品の選択には注意が必要です。

 少額投資非課税制度(NISA)の口座を活用した投資信託の積み立て投資、債券や一時払い生命保険商品への一括投資、金投資など各商品の特徴やリスクを理解し、分散投資を心がけましょう。
<たのシニア生活彩り俱楽部アドバイザー(ファイナンシャルプランナー)平田純子>