次女が離婚し同居 孫に不自由なく

 次女が離婚して孫を連れて戻りました。内孫のこの子には不自由なく育ってほしいと思います。私はがん療養中で、認知症の妻の将来も心配なため施設入居も検討中です。脳転移の可能性もあり、どう備えるべきですか。(80代、男性)

家族信託経営するアパート活用

 次女とお孫さんを思う気持ち、奥様の将来、ご自身の病状への不安が重なり、心が落ち着かない毎日でしょう。限られた体力と時間の中で、家族のために今できる最善の備えをしておきたいというお気持ちは尊いものです。

 お話を伺うなかで、アパート経営をされていることが大きな鍵になると感じました。判断能力が低下した場合に資産管理が滞るリスクを避け、家族信託が非常に有効だからです。

 あなたが委託者となり、次女を受託者に指定します。次女はあなたの代わりにアパートの管理や修繕、契約行為を行うことができ、必要であれば売却も可能です。売却代金や家賃収入は信託口口座で管理され、そのお金はあなたの生活費・治療費・介護費として確実に使われます。

 さらに大切なのは、契約が終了した際、残った信託財産を誰に承継させるかを、帰属権利者として指定できる点です。次女を指定しておけば、アパートを残した場合でも売却した場合でも、確実に次女へ資産を引き継ぐことができ、孫を金銭的に不自由なく育てることができるでしょう。

 遺言書と家族信託の内容が重複した場合には、家族信託が優先されます。そのため、家族信託の設計段階であなたの思いを丁寧に反映しておくことが重要です。長女の遺留分を侵害しないように配慮しつつ、信託財産にしない資産については遺言書で行き先を明確にしておくことにより、将来の相続が円滑に進みます。

 家族信託と遺言書を組み合わせた準備は、まさに「思いを残すための最良の方法」といえます。
<たのシニア生活彩り俱楽部アドバイザー(ファイナンシャルプランナー)長沼満美愛>