亡父の実家相続 母と私どちらが?

 父が亡くなり、母には実家に暮らし続けてほしいです。ただ、母が相続すると、認知症になった時に家を売却しづらくなると聞きます。私が相続すると、固定資産税や管理費などの負担が重いです。どうすればよいですか。(60代、女性)

「使用貸借」自ら相続し母が居住

 あなたが実家を相続し、お母様は使用貸借で住み続ける方法が考えられます。使用貸借とは、無償で不動産を使ってもらう契約です。

 この方法なら、実家の所有権はあなたにあるため、お母様が認知症になって施設に入所した場合でも、母名義の不動産を成年後見人の関与のもとで売却するという煩わしさがありません。所有者であるあなたが売却を判断できるため、認知症による資産凍結を避けられます。

 また、配偶者居住権を設定しないこともポイントです。配偶者居住権はお母様の居住を強く保護できる半面、原則としてお母様が亡くなるまで続きます。そのため、施設へ入所した後に実家を売却したい場合、居住権が残ることが売却の制約となる可能性があるのです。

 確かに、あなたが相続すると、住まない家への固定資産税や管理費の負担が重いですね。お母様に固定資産税や通常の維持管理費など、居住に必要な費用を負担してもらうとよいでしょう。こうした必要な費用負担の範囲内であれば認められます。

 さらに重要なのが、使用貸借を終了する時期について明確にしておくことです。例えば、一時的な入院では終了せず、「自宅での生活を終え、施設などへ継続的に入所した場合に終了する」など、具体的な条件を定めます。退去後の家財整理や売却までの費用負担も決めておくことにより将来のトラブルを防げますね。

 このように、お母様が元気な間は安心してそのまま暮らし続けてもらい、施設への継続的な入所となった際は子が実家を売却できるように、父の相続で整えておくとよいです。
<たのシニア生活彩り俱楽部アドバイザー(ファイナンシャルプランナー、CFP認定者)長沼満美愛>